Fu-Ko-Q Present

arataxia〜風の紅き丘の上〜

エミヤくん家の○×事情〜『俺があいつであいつが俺で。』 2

「う、うそ……でしょ? ひゃぁっ!!」

 彼らの方へ伸びた私の膝に、いつの間にか伸ばされていたアーチャーの指が触れた。

「遠坂、こっち」
「え───ん、んんっ!」

 それに気を取られた隙に横へ回りこんでいたのか、士郎の浅黒い肌が目の前に広がったと思うと、あっさりと唇を奪われる。二人の腕から抜け出そうと身をよじってみたが、私の頬を覆う士郎の大きな手はいつもよりずっと力強くて、顔を背けることすらさせてもらえなかった。
 そうこうしている内に、アーチャーの手はするすると太腿を滑り、布地で覆われていない太腿の部分に達してしまう。くすぐったくもなく、痛くもない微妙な力加減で地肌を撫でられる感触に、私の体はひくりと跳ねていた。

「ぁ、や……っ、ダメむぅんんんんんッ!」

 両手で私の頬を包んでいた士郎が右手を外し、赤いタートルの上から私の乳房を包み込む。顔を覆われていたのが片手になったことで、彼の唇から逃れて抗議の声を上げてはみたものの、結局は顎を押さえられ、開いていた唇から士郎の舌を捻じ込まれた。
 じぃんと脳髄が痺れ始めている。呼吸はすっかり荒くなってしまっているし、『ダメ』と言いながらも士郎のキスを受け入れてる証拠に、私はしっかりと瞳を閉じてしまっていた。
 太腿に触れるだけだったアーチャーも、するするとニーソを脱がし始めていて、露になっていく私の肌に優しいキスを落としたり、ぺろりと舌の刺激を与えてくれる。
 じりじりと後退した姿勢そのままでいた私は、後ろで突っ張ったままでいた両腕がフルフルと震え始めているのに気付かされた。こんなにも簡単に、私は体に力が入らないところまで惚けさせられてしまったのだろうか。

「………遠坂」

 低い声が聞きなれない発音で私を呼ぶと、頬を包んでいた手が私の背中を包み込む。その腕に体の全てを預けるように、私は両腕の力を抜くと、閉じていた瞳をうっすらと開けてみた。
 目の前には苦しそうに眉を寄せた大人アーチャーの顔がある。でもそこにいつもの余裕や傲慢さは無くて、心のままに真っ直ぐに、私を求めて止まないという色だけが滲み出ていた。
 その表情に、思わず胸が熱くなる。こんな風に求められて嬉しくならない女なんて、きっとこの世にはいない。

「し、ろう……」

 二人の中身が入れ替わってしまってからずっと、私は彼をそう呼ぶことに何の抵抗も感じていなかった。

「ん」

 私の呼び掛けに応えるように、再び士郎の唇が降りてくる。
 士郎の腕に上半身の体重を全部預けて、私は彼の唇に溺れていった。

「ふ、ぁぁ………ンっ」

 乳房には相変わらず士郎の手が伸びていて、服の上からずっとささやかな刺激を加えてくれていた。優しくて穏やかで……強引なようでいて、ほんの少し遠慮がちな士郎の愛撫────
 それだけなら、私はここまで簡単に乱れたりはしなかったかもしれない。
 私がここまで彼らの好きにされてしまうのは、普段性感帯として意識していない脚にもたらされるアーチャーの感触だった。
 ぴったりと私の脚に吸い付いていたニーソックスは、すでに両足とも緩められていて、片方はふくらはぎに纏わりつき、もう片方は足首の辺りで塊になっている。薄布から解放された肌はアーチャーの愛撫で敏感になってしまったらしく、時折吹き付けられる彼の吐息さえも嫌というほど感じてしまっていた。
 士郎に唇を奪われたままの私は、アーチャーがどんな顔で私の脚に触れているか確かめることは出来ない。でも、脚に感じられる吐息が荒ければ荒いほど、彼もまた私に触れることで興奮しているのかもしれないという考えが、私の脳裏に浮かんでしまう。
 普段余裕すかして私に接してくるアーチャーが、私の脚に口付け、呼吸を荒くしているという事実は、私の脳髄を痺れさせるのに十分なスパイスだった。

「んは、ぁ………ふわぁっ」

 士郎と重ねたままの唇から嬌声が漏れる。
 すっかり体の力が抜けてしまった私は、アーチャーが加える力に全く抵抗できずに、はしたなくも両脚を大きく広げられてしまう。そこに少しずつ上ってくるアーチャーの愛撫に、自分の蜜壺が否応なしに反応しているのを思い知らされる。
 既に、我ながら短めだと思うプリーツスカートは腰の辺りに寄ってしまっていて、普段から好んで穿いているストライプのショーツは、とっくにアーチャーの視界の中だろう。スルスルと太腿を撫でる手はもう何往復もしていて、肝心な部分に触れようともしないその愛撫に、私はすっかり焦らされてしまっているようだった。
 もしかしたらアーチャーの鼻にはもう、あの女特有の愛液の香りが届いているのかもしれない。

「ふぅッ、んんんぅ!」

 私の太腿を撫でるアーチャーの手が私の膝の裏をがっちりと掴み、内腿に舌を這わせた。
 それは、これまでの焦らす愛撫とは全く違う刺激で、太腿から脳みそにジーンとした甘い痺れが走り抜けていく。それと同時に私の蜜壺からは、くぷりという感触と共に愛液の塊が溢れ出していくのだ。

「んちゅ、くちゅ……」

 すぐ耳元で聞こえているように感じるのは、私と士郎の唾液が絡み合う音のはずなのに、私はそれが、自分の花弁から聞こえてくるような気がしてならない。

「んぁ、ちゅ、ふわぁんッ」

 私は思わず、目の前の士郎の首に両腕を回し、それをより深く交わらせ自分の体を固定する。そうすることで、私の腰はほんの少しだけくねり始め、無意識の内に焦れた蜜壺をアーチャーにアピールしてしまっていた。
 その腰の動きを今すぐに止めたい自分と、そんな淫らな自分を容認してしまっている自分とが頭の中でぐちゃぐちゃになる。恥ずかしさで頭に血が上り、それを隠したい一心で、私は士郎が着ていた赤い外套を強く強く握り締めた。

「凛、自分で判っているのか? 触れてもいないのに、君のここはもうこんなにも濡れてしまっているぞ」
「っ!」

 聞きなれた同級生の声色で、アーチャーがそんなことを囁いてくれる。それだけでも十分恥ずかしいのに、呼吸が荒い彼がショーツのすぐ近くでしゃべることで、まだ触れられてもいない蜜壺に軽い刺激が加わったようにも感じられた。
 ぐっとアーチャーの両手に力がこもり、だらしなく開かれただけの私の両脚をさらに広げてくれる。畳に触れていた踵が浮き、士郎にしがみ付いていなければ、今頃私はひっくり返されていただろう。

「あぁ、すごい……。ここまで臭いが届いてきてるよ、遠坂」
「っっ!!」

 目の前の士郎までそんなことを言い出す。そればかりか、少し身を乗り出して私の染みが出来てしまっているだろうショーツを覗き込むような仕草までしてくれた。

「やッ! 士郎、ダメっっ!!」

 アーチャーに視姦されてるだけでどうしようも恥ずかしいのに、二人の男からじっと見つめられるなんて耐えられない。
 しがみついた体でなんとか彼の動きを止めようとした私だったが、尾てい骨の辺りだけで体を支えている今の私には、それも徒労に終わってしまう。私は上半身を起し、両膝を思い切り持ち上げた状態のまま二人の男に固定されてしまった。

「遠坂、すごい。こんな、濡れて……」
「既に染みにまでなっているぞ、凛。まだそれほど愛撫らしい愛撫はしていないのだがな。君がここまで淫乱だとは思わなかったぞ」
「そんな遠坂を卑下するような言い方するな。遠坂は感じやすいだけなんだから……。
 それって、いいことだろ!?」
「これは褒め言葉だ馬鹿者。そんなことも判らないようでは、凛を満足させることなど百万年経っても不可能だ」
「ちょ、ちょっと二人とも……ッ、ひぁぁっ!!」

 人に恥ずかしい格好をさせたまま言い争いを続けそうになっていた二人だったが、この行為を止めるつもりだけは無いらしい。私が口を挟もうとした瞬間に、士郎は私の上着を捲り上げ、アーチャーはショーツの上から私の蜜口を指で撫で上げる。
 それで、私の思考はバラバラにされてしまった。
 普段だったら、自分をこんな格好にしたまま少しでも言い争いをするなんて許せないし、そんなことより何より、二人の男性を同時に相手をするなんて想像したこともない。
 怒り狂ってガンドぶっ放して、二人を目の前に座らせて説教して。いつもならそれで終わりのはずなのに、アーチャーの顔で士郎が私を求めるから、士郎の声でアーチャーが囁くから、どう拒んでいいのか判らなくなってしまっている。

「あ、はぁ……ん、ふわぁんッ!」

 士郎は完全に私の後ろに回り込み、体の力が抜けてしまった私の背もたれ代わりになっているようだ。私の体を胸元で支え、自由になった両手で乳房を覆っていた下着を上へとずらす。そうして大きくて浅黒い手が、あまり大きくない私の乳房を包み込んでくれる。
 その間にも下からはぐちゃぐちゃという音を立てて、私の愛液とショーツが絡み合っていた。人差し指の腹だけで、何度も何度も優しく擦り上げるその優しい感触とは裏腹に、アーチャーの顔は意地悪そうに歪んでいる。
 それがいつもの彼の顔だったら、私はこんなに戸惑ったりはしないのかもしれない。でもそれは、ずっと前からなんとなく気になっていた同級生の顔で、その彼はこんな風に意地悪く笑ったりしなくて。

「く、ふぅんッ!!」

 乳房の柔肉を弄んでいただけの大きな手が、私の両乳首を摘まみ上げる。柔肉を下から上へ、彼の手の平にその重みを感じさせるように触れたまま、人差し指と親指で挟み込まれた突起は、微妙な力加減で刺激されていた。
 頭がおかしくなりそうだ。すでに部屋中に充満してしまった私の愛液の香りすら感じなくなるほどに、私は二人がもたらす感覚に全てを預けてしまっている。

「ひゃんッ!」

 士郎の指が、コリっと私の乳首を潰した。少しだけ痛かったから、私は思わず高い声を漏らしてしまう。

「未熟者め。私のマスターの体だ。もう少し大事に扱ってもらおうか」
「そ、そんなの、この体が変に力が入り過ぎるんだからしょうがないだろ!」
「情事の最中でさえ言い訳か。ほとほと救えん男だ」
「な……っ! お、おまえこそ、こんな時に殺気撒き散らしながら説教するな!!」
「士郎………」
「────ぁ、」

 怒鳴り始めてしまった士郎の方へ視線を上げる。士郎の胸に頭を預けていた私は、上を向くだけで彼の視線をこちらへと引き寄せることが出来た。
 この行為が始まってから二度目の口論。今度はちゃんと、私が止めてあげないと。

「アーチャーも、気持ちは嬉しいけどそんな言い方しないで。今は私のこと、二人で気持ちよくしてくれるんでしょ?」
「む」

 アーチャーは眉間に皺を寄せて不機嫌そうな顔をしたが、彼が言い返してこないということは納得してくれた証拠だ。私はそんな彼に軽く微笑むと、再び真上にいる士郎へと視線を移し、両手を伸ばしてキスをせがんだ。

「遠坂、ごめん」

 そんな私に、アーチャーの顔で素直に謝ってくる士郎がかわいい。

「ふふっ、いいの。もうこうなったら、二人の好きに触れてもらうんだから」
「………遠坂」
「ん」

 彼なりのお詫びのつもりなのか、降りてきた彼の唇は、ただ触れるだけのキスをして私から離れてしまった。
 でも、当然それだけで終わるわけじゃない。士郎は、背中に下りた私の髪を肩に掛けて前に落とすと、耳元や、未だタートルで覆われたままの私の首筋に舌を這わせ始めた。

「……ふ、ぁぁ……」

 当然乳房に触れたままの両手も蠢き始め、私は再び快楽の海へと沈んでいく。

「あ、ひやぁぁッ!!」

 そんな私を見て、アーチャーはべとべとになってしまったショーツを横にずらし、粘性が強くなっているだろう私の愛液を、べろりと舌で舐め取った。

「ひぅん! ふぁっ、ひぁぁんッ!!」

 結局のところ、私の躰はすっかりと焦らされてしまっていたらしい。アーチャーの舌が私の蜜口を舐め上げるたび、私の躰はびくびくと痙攣してその感触を悦んでいるようだ。
 暴れる私の躰を抑えるように、士郎の両手にも力が篭る。後ろからぎゅっと抱きしめられる安定感に身を任せ、私は自分の蜜口に口付けるアーチャーの赤茶色の髪を掻き毟っていた。


 ────ず、じゅる、ずずずっ


 そんな、啜ってしまえるほど私の蜜壺からは愛液が溢れていたのだろうか。厭らしい部分から聞こえてくる淫猥な音に、まるで耳を犯されているような気分になる。
 やがて私の溢れていた愛液を啜り終えたのか、アーチャーの舌が蜜壺の中へと侵入してきた。膣壁に絡みついた愛液を舐め取るような動きに、自然と私の腰が蠢きだしてしまう。彼の髪に触れたまま、私はアーチャーの口元に蜜壺を押し付けるような仕草をしてしまっていた。

「遠坂、すごい厭らしい……」
「ア……ッ!」

 耳元で低い声が囁いたかと思うと、耳の穴のなかに士郎の舌が侵入してくる。ぐちゅりという水音が、脳みその中で聞こえてくるような錯覚を覚えた。
 士郎は自分の唾液をたっぷりと舌に絡ませているのだろう。耳のでこぼこを一つ一つなぞるように、私の耳を丁寧に愛していく。
 もちろん、乳房への愛撫も彼は忘れていない。桜やライダーみたいなボリュームの無い私の乳房なんて、触っていても物足りないだけだろうに。アーチャーに注意されてからというものずっと、士郎は私が少し足りないと感じてしまうほどに優しく、でもじっくりとその感触を楽しんでくれているようだった。

「ふぁっ、ひ、はあぁぁんッ!!」

 快楽の波に翻弄される。私は、この異常な行為に混乱していた思考すら失って、二人のもたらしてくれる快感に支配されてしまったようだった。

「遠坂……俺、もう………」

 そう低い声が呟くのと同時に、温かかった背中の安定感が失われる。閉じていた瞳を開くと、魔力の淡い光と共に、浅黒い男の肌が露になっていた。
 そして私の目の前には、士郎のギチギチに昂ぶった肉棒がその存在を主張している。
 膝立ちになって私の目の前に差し出してきたソレは、既に先端をてらてらと濡らしてしまっていて、何もしていないのにヒクつくその様子に、アーチャーと言い争いになるほど切羽詰った士郎の昂ぶりを嫌というほど感じさせられた。

「そうよね、ずっと我慢させられてたんだもんね……」


 ────ちゅ、


「───っく、ぁッ!」

 その先端に口付けた瞬間、士郎の腰が軽く引かれる。ずっと抜くことすら許されなかった彼の精は、もう本当に限界なんだろう。押し殺したくても漏れてくる彼の呻き声に、自然と私の愛撫にも力が篭っていく。

「ん、ふぅっ」

 そっと右手を添えて、彼の亀頭を口内へと招き入れる。むっとする男性特有の香りは、すぐに私の唾液と相殺されて和らいでしまったけれど、口内でちゅっと士郎の亀頭を吸い上げれば、すぐに新たな先走り汁を私の口の中へ滲ませてくれた。
 士郎の体液と私の唾液とを混ぜ合わせ、たっぷりと彼の肉棒に塗りつけていく。最初は少しだけ口の奥に肉棒を含み、それでも足りない根元の部分はハーモニカを吹くように塗りたくる。
 まだ刺激を与えるための準備段階だというのに、士郎はそのどれにも過敏に反応して、苦しそうな呻き声を上げていた。

「我慢、しなくていいからね」

 士郎が私の唾液でべとべとになったのを確認すると、そう彼に告げて、私は今にも破裂しそうな肉棒を喉の奥へと招き入れた。

「っっ!!!」
「んふぅッ!?」

 その瞬間、士郎の体が硬直したかと思うと、私の頭を大きな手で包み込み、彼は自ら腰を使い始めてしまった。

「んっ、ん、んむぅっ!」

 一瞬苦しさで士郎を吐き出しそうになる。だが、頭をがっちりと掴まれている所為でそんなことは叶わない。必死で鼻から息を吸い込んで呼吸を落ち着かせながら何度かソレを出し入れされるに従って、私は少しずつ彼の動きにも慣れ、士郎の太腿に左手を添えて自分の体を支えると、こちらも頭を前後させて士郎を気持ちよくしていく。

「ん、ぁ……とおさ、か………っ!」

 余裕の無い、けれど大人びた声が上から降りてくる。それに気を良くした私は、肉棒にくっつけるだけだった舌を硬くして、出し入れされる士郎に更なる刺激を加えていった。
 士郎を刺激する行為にのめり込んでいくことで、私はアーチャーからもたらされる快楽から一握りの理性を保とうとしていたのかもしれない。
 いつの間にか私のショーツを片足にひっかけるだけの状態にしていたアーチャーは、私の愛液を吸い出して舌で蜜壺を掻き回す愛撫の他に、私の陰核に指の腹をそっと当て微妙な刺激を加え始めていたのだから。

「ん、むっ、んんん……」

 一番敏感な部分を優しく刺激され、その刺激を与えている男とは違う男の肉棒を咥えて嬌声を漏らす。いや、違う男というのはこの場合少し語弊があるのかもしれないけれど、でもこの状況は、じわじわと昇ってくる絶頂への感覚を増長するものでしかなかった。
 そんな私の状況など手に取るように判るとでも言いたげに、アーチャーの愛撫が強く激しくなっていく。
 口を塞がれている為に、私は鼻息を荒くして士郎の肉棒にしゃぶりついているような格好だ。昇ってくる快楽を逃がす事が出来ずに思わず士郎を握る手に力がこもると、あれだけ張り詰めていたはずの士郎が、私の口内で更に硬くなった気がした。
 息苦しさと気持ちよさで頭がくらくらする。興奮で涙が滲んでしまうのか、鼻の奥がツンと痛くなった。

「遠坂、も…もう………」
「んぐっ!?」

 私の頭に触れていた士郎の手が、乱暴に後頭部を鷲掴みにする。そのまま無茶苦茶に私の頭を振り回して、自分の欲望を吐き出そうと躍起になる。
 でもそんな彼の暴走を、私は少しも不快とは感じなかった。だって私も、もう自分じゃどうにもならないほど、限界まで昂ぶってしまっているのだから────

「出すぞ、とおさか……ッ!!」

 士郎への愛撫に集中していた理性を解き放つ。そして酸欠で朦朧とする全ての感覚を、アーチャーが与えてくれる快楽に委ねていた。
 自分の腰が細かく震え、膣壁もきゅうっと収縮する。それを感じてくれたのか、陰核に触れていたアーチャーの指が、強く強くそれを押さえつけてくれた。

「────く、ぅ」
「んぶッ! あ、んぁぁぁああぁっぁッ!!」

 士郎が私の口内に、ずっとずっと出したかった白い塊を吐き出したのと同時に、私も絶頂の時を迎えていた。
 そんな時に、一週間溜め込まれたドロドロの液体を飲み込む余裕はさすがになかったらしく、私は口内でビクつく士郎を吐き出して、絶叫に近いほどの厭らしい声を上げてしまっていた。
 喉と口内にへばり付いた粘性の強い液体は、当然それだけで収まるはずも無く、私の顔に、髪に、服に────当然、部屋の畳にもぼたぼたと降り注がれていく。

「ぅ、ぁ………」
「…………熱、ぃ……」

 士郎の呻き声と、私のぼんやりとした声が重なる。士郎の手で頭を支えられていただけの私は、そのままゆっくりと、畳の上に崩れ落ちていった。

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